記事:令和元年11月14日

― 農業技術者の洞察 ―
「水慣れ」させて裂果を防ぐ

ミニトマト、メロン、スイカで問題になる裂果は、果皮の弾力以上に果肉が膨張することによって起こる。裂果は、現象としては水分過剰である。しかしその原因は、奇異なようであるが土の乾燥である。
裂果は、日頃あまり水をもらえない状態におかれた株が、急に多量の水をもらうと発生する。だから裂果をさせな確実な方法は、水をやらないことである。しかし、これでは収量が上がらないので、水はやらなければならない。水はやるけれども、過剰に吸わせないようにすることが必要になる。水を十分与えた上で、株が急な吸収をしない状態に誘導した方がよい。
果菜は土が湿った状態が続くと、日々の吸収量がならされ、急激な増加を起こさないようになる。水に鈍感なこの状態が水慣れである。水慣れすると果実は肥大するが裂果は起こさない。
反対に、裂果を恐れるあまり土を乾かすと、果実の肥大が不十分なまま水に敏感になる。敏感な状態で水をやると裂果が出る。つまり、裂果の発生原因は土の乾燥である。
水をやる頻度を毎日なら毎日、隔日なら隔日と決めて、株の水需要にかかわらず、そのパターンを継続させることで水慣れをさせることができる。
水慣れさせるための水やりを始める時期は、どの品目も果実の負荷で茎葉の暴走の恐れがなくなったときである。ミニトマトは第一果房の実がエンドウマメ大、メロンやスイカはビワの実大が目安である。
なお、水慣れにより糖度が下がることはない、という専門家のお話でした。